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生物がアズラクトンを作るメカニズムの解明に成功


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薬学部の渡辺賢二教授、岸本真治講師、薬食生命科学総合学府博士前期課程2年の南歩実さんのグループは、生物がアズラクトンを作るメカニズムの解明に成功しました。
アズラクトンとはアミドのカルボニル酸素が同一分子内のカルボニル基とエステル結合した含窒素5員環ラクトンのことであり、共鳴安定化により4位水素が容易に脱離するという性質を有します。従ってペプチド合成においてアズラクトンが生じた場合、アミノ酸のα位のエピ化の要因となることが広く知られています。また、アズラクトンは4位水素の脱離で生じる負電荷により求核性を有しているだけでなく、5位のカルボニル炭素が求電子性を有していることから高い反応性を有しています。そのため一部の安定なアズラクトンを除き、有機合成の途中で生じても単離されることはありません。このような反応性に富んだアズラクトンは天然ではこれまでに見出されてきませんでしたが、同グループは糸状菌 Aspergillus lentulusの生産する新規化合物 lentofuranine と fumimycin の生合成研究の過程でアズラクトンである fumarylazlactone が生合成されていること を直接観測することに成功しました。この世界で初めての発見によって天然ではごくありふれた酵素を使って天然物の複雑な化学構造にさらに多様性を与えていることを明らかにしました。
<掲載された論文>
Reactive azlactone intermediate drives fungal secondary metabolite cross-pathway generation
Shinji Kishimoto, Ayumi Minami, Yoshimitsu Aoki, Yuya Matsubara, Shogo Watanabe and Kenji Watanabe
関連リンク:American Chemical Society
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.2c13188(外部サイトへリンク)

図:天然物アズラクトン

(2023年1月30日)

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